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 横浜副流煙裁判とは、団地の一階に住む藤井氏の喫煙が元で疾患その他不利益が生じたとして斜め上の二階に住む原告一家が約4500万円もの法外な金員と藤井家内における喫煙の禁止を求めた損害賠償請求事件である。

 これに対し、横浜地裁は原告の請求を全て棄却。控訴審においても東京高裁は横浜地裁の判決を全面支持。同じく請求棄却により原告全面敗訴で判決は確定した。

 この事件を概要だけ流すように読むと、藤井氏の喫煙が許容できる範疇を超えるものであった為に原告一家が提訴に及んだと捉えてしまう方もおられるかも知れませんが、藤井氏の妻である敦子さんが経緯を纏めているので先ずはそちらを読んでいただきたい。

 こういった経緯であるにも関わらず原告がこのような無謀としか言いようのない提訴に踏み切ったのは何故か?言い方を変えれば、原告に提訴を決心させたものは何か?という部分は非常に重要である。先に結論を述べてしまえば、【受動喫煙症の診断書】だ。この裁判で原告側が提出した証拠は膨大な数ですが、その証拠は一つとして原告の疾患と藤井氏の喫煙の因果関係を証明できなかったからこその原告全面敗訴であり、証拠には

医師(医療機関)の名で発行された【受動喫煙症の診断書】

も複数ある。診断書とは証明書であり、被害を証明する文書であるからこそ請求(提訴)の根拠となっている。しかし、横浜地裁の判決にもあるように、患者の申告のみに依拠して書かれた文章にすぎないその診断書は客観性を著しく欠き、疾患との因果関係どころか実際に受動喫煙があったかどうかの証明にも足りないのだ。

 この内容の診断書の取得と、それを用いた要求・請求・提訴・不買運動等をこのように推奨している。

言い換えるなら、何も証明できない紙切れを持って恫喝する行為を、受動喫煙の被害を訴え病苦からの救いを求めてきた患者に推奨しているのが、こういった面々が役員に名を連ねる日本禁煙学会なのだ。

 横浜副流煙裁判の原告一家の心情はどうだろうか?日本医師会会長だとか、タバコ問題に詳しい(強い)という弁護士や医師が役員を務めるこの団体に

「あなたの不利益は他人の喫煙が原因ですよ。」

と【証明】してもらえるのだ。多少不自然な部分があっても盲信してしまうのかも知れない。しかし、結果は前述した通り。診断書に証拠能力は認められず請求は全て棄却。救われると信じてすがった原告もまた、数年の時間と決して安くはないだろう費用をかけて何も報われていないし救われてもいない。

・受動喫煙にお困りならこうしましょう

の通りに動いた原告に残ったものは藤井家と喫煙への逆恨みぐらいだろう。

 そして、受動喫煙症と診断される事で生じる最悪の害は、上記

・受動喫煙症診療にあたっての留意点

にも【治療と対策】と明記されている

・最も必要不可欠の対策は、タバコ煙の「完全な回避」

というもの。実際に受動喫煙があるのかさえ確認しないまま受動喫煙を病因と特定する診断を行い、受動喫煙が存在する限り病苦に苛まされるんですよと患者に告げる訳です。横浜副流煙裁判の甲3号証にも同様の内容が記されている。これは受動喫煙の無い環境であれば症状が改善するという事ではない。受動喫煙症診断が受動喫煙の事実さえ証明できない内容なのだから、受動喫煙の無い環境に患者を移したところで因果関係のわからない症状が治まる保証はどこにも無いし、その状況で発症や増悪が確認されれば逆に、副流煙は病因ではない事が証明されてしまう。即ち、虚偽の内容で診断書を作成した事実が確定してしまうという事。だからこそ受動喫煙症の診断書は総じて受動喫煙の原因である喫煙を消失させるのが【治療法】であるとする体で書かれるのだ。病因を突き止め適切な治療を行う医療を放棄し、患者にも病にも向き合わないこの診断を受けた者が、仮にタバコ煙の無い環境で症状を自覚したらどうだろう?受動喫煙が病因なのだから受動喫煙があるに違いないと思い込み、ありもしない喫煙という犯人を必死で探す可能性も相当にあるのではないだろうか?事実、原告一家は藤井氏不在の時間帯に不在を確認しながらも副流煙の流入を訴え、喫煙しない藤井氏の妻子が喫煙しているに違いないと決めつけ監視し続けたのだ。このように虚偽の内容を記して適切な治療を行わないばかりか、脅迫的に喫煙への憎悪を煽り精神をも追い詰める【受動喫煙症診断】なる行為が許されてはならないのだ。

 余談ではあるが関連の話をもうひとつ。一審判決が出た後からの一部の過激な禁煙推進派から多発した発言を纏めると

医学的知見に乏しい裁判官(司法)による非人道的な判決

というものになる。横浜地裁の新谷晋司裁判官が裁判長として出した一審判決の中で受動喫煙症診断は政策目的であると断じた事、無診察で発行された診断書(甲3号証・医師法20条違反)についても誤診や虚偽の可能性はあれど患者の身を案じた日本禁煙学会理事長、作田学氏の適切な判断である事を理解していないといった主旨の発言だ。

 しかしこの新谷裁判官

横浜地裁 平成28年(ワ)1900号 損害賠償請求事件

において、虚偽あるいは誤診の可能性のある診断書の行使等、医師の職権濫用により不利益を被ったとする訴えに対し、被告となった医師は患者に適切な医療を提供する責務を全うしたにすぎず違法とはならないとして棄却の判決を出している。この判例は

・D1-Law.com 第一法規法情報総合データベース

内にある著作物に該当するので添付は控えるが、一読してみて欲しい。

 その上で、非人道的なのは判決なのか?副流煙を病因としながら他人の喫煙を制限する【理由】として受動喫煙のある環境に患者を留め犠牲を強い続ける受動喫煙診断を行う者達なのか?よく考えてもらいたい。