2021年1月15日 原告の一人=A娘について発行された作田学医師による診断書(甲3号証)は、直接の診察をせずに発行されたものでした(H29.4.19)。
これは第一審判決(令和1.11.28)において、「医師法20条に違反するものといわざるを得ず」と認定されています。
この「医師法20条違反」はまず、「被告準備書面(7)H31.1.23」で指摘されています。これに対し作田医師は「追加意見書(甲43号証)H31.3.28」において、「個別事情として、例外はあり得るのです」として、なお当文書を「診断書」と呼んでいました。
しかし控訴審に及んで作田医師は、この文書についての説明を二転三転します。
「甲66号証の1」ではこれを「本文書」と呼び「『意見書』として取り扱われるべきものである」と言います。
「甲81号証」では「証明書」と呼び替え、「日赤医療センターのコンピュータ画面では証明書という項目はどこを探しても無く、やむを得ず、診断書として発行しました」と言います。
別段、「やむを得ず」診断書を発行する必要などはない筈です。
A娘に対しては、倉田文秋医師による「受動喫煙症(レベル3)」診断書および宮田幹夫医師による「化学物質過敏症」診断書があった。
この二つの診断書を参考に自己の診断書を書いたからには、作田医師はこのことを知っている。知ってなお、無診察で「受動喫煙症(レベル4)」とする診断書を発行するからには、作田医師にはこれを訴訟ないしは、藤井氏に禁煙を強要するためのものであるという認識があったと言えるでしょう。
その意図は、他ならぬ診断書自体から読み取れることです。
ここでは「団地の一階からのタバコ煙にさらされ」「1年前から1階にミュージシャンが家にいて」「タバコを四六時中吸うようになり」と、まるで見て来たように、「受動喫煙の犯人」が特定されています。この時点で、作田医師はA家族宅も藤井氏宅も訪れてはいません。ただ患者の主張するところをそのまま、事実として書いているだけなのです。それを、病院で患者の診察をするだけでは分かるはずのない「犯人」を、診断書に書き入れることがそもそも異様なことです。
甲66号証で作田医師は、A娘の「病状は重篤で生命の危険が差し迫っている可能性も推認された」ゆえの「緊急避難として」、甲3号証診断書を発行したのだと言います。
けれど「生命の危険が差し迫った」患者に対し、作田医師はなんらの治療を施さず、指示もしていません。いかに受動喫煙症が「完全禁煙以外に治療の方法がない」とは言え、「入院」という方策すらなかった。それほど重篤であった患者に対してさえ、です。
作田医師がA娘を往診したのは、令和元年12月16日。すでに診断書発行から2年8ヶ月。この間作田医師は、本人曰く「病状は重篤で生命の危険が差し迫っている」患者を放置してきた。そして奇妙なことに、ここで書かれたはずの「診断書」は、裁判に提出されていない。また往診すれば分かった筈の「団地の1階からの四六時中の副流煙」については、意見書ですら触れられていないのです。