作田学医師によるA娘に対する無診察での診療費請求について、

横浜市健康福祉局保険年金課が、レセプトを返戻していたことが分かりました。

「レセプトを返戻」聴き慣れない言葉です。
「レセプト」とは診療報酬明細書。
医療者(病院等)が、医療費の保険者(健康保険組合等)負担分を受け取るため、保険者に提出する請求明細書といったもの。
「レセプトの返戻」は、保険者が医療者に、この請求を差し戻すことを言います。

つまりこの場合、保険者たる横浜市健康福祉局保険年金課が、作田医師・日本赤十字社医療センターの、無診察での診療費請求を認めなかった、となります。(注1)
作田学医師がA娘につき、無診察で診断書を出し診療費を請求したことは不正である、少なくとも保険適用とする事は認められない。そのように判断されたのです。
またこの件について横浜地裁より「医師法20条違反」と認定されたことが、横浜市健康福祉局から指導監査部へと報告されていることが、資料から分かります。
不正の監査については、病院が立地している行政区の指導監査部に報告されます。この場合は東京都福祉保健局指導監査部となります)

しかしこれを受け、日本赤十字社医療センターがどのように対処したのかは不明です。
これを問い合わせた藤井敦子氏に対し、日赤の院長は返答を拒否しているからです。

少なくとも、僕には3つの疑問が浮かびますが。
日赤には本当に、社会に対してこれを説明する責任はないのでしょうか。

①日赤は当該診療費を返却したのか、或いは他の方法で対処したのか。
(本件は3年以上前の案件であり、医療費はすでに保険者から支払われています)
②日赤は、患者たるA娘に、診療費本人負担分を返却したのか。
(返却していないとすれば、日赤はこの件を不正と認めていないか、不正と認めて尚、患者にそれを隠していることになる)
③日赤は、不正を行った作田学医師にどのような対処をしたのか。
(作田医師は2020年3月に日赤を退職したようですが、その理由は不明です)

あえて僕がここで日赤の責任を追及するのは、この問題を軽く考えられることに、危機感を持っているからです。
では何故この問題を軽く考えてはいけないのか。
それが何度でも繰り返し行われるような仕組みがすでに作られてしまっているから。
そしてこの問題は本来、「医師法20条違反」や「医療費の詐取」より大きなものだからです。

横浜地裁では、受動喫煙症の診断及び日本禁煙学会による診断基準が「政策目的」のものであると指摘しています。
これについて僕は何度か、このH Pや自身のブログで考察してきたのですが(注2)、レセプトと言うキイワードを得て、ひとつ気がついたことがあります。
受動喫煙症の診断基準が、1〜5までのレベルと、対応する既存の病名を羅列しただけの奇妙なものであることの意味です。

レセプト(診療報酬明細書)には当然、病名が記入されます。これは厚生労働省の基準に基づき、I C D10準拠のコードによるべきものです。
当然ながらそこに「受動喫煙症」は存在しません。
けれど「受動喫煙症診察」のレセプトは書かれ、保険者に医療費が請求されていた。
ならばレセプトに記入されていたのは、「受動喫煙症」とは別の病名です。
診断基準に並べられた既存の病名は、このガイドとしてあるのではないか、と気がついたのです。

馬鹿馬鹿しい、と思われるかも知れません。
まるで子どもが悪戯を計画するような、小さく下らない話だと思われたでしょう。
けれど横浜副流煙裁判を通して見ることの出来た、作田学理事長などによる「受動喫煙症」に関する主張は、全てがこうした下らないものでした。

「患者の自己申告は、受動喫煙症診断の必要十分条件だ」
「これを証明する論文は世界に沢山ある」
「極限状態においては、医師法も超越されると理解いたしました」
(と言って無診察で診断書を出し、患者は治療せずに放置する)
等等。

レセプトについて僕が邪推したこともまた、医療費という小銭を稼ぐための、子どもの悪戯・悪知恵程度のものかも知れません。
けれど子どもの悪戯でも、出来ることがある。人を傷つけることです。

横浜副流煙裁判で明らかになった一番大きなことは、「受動喫煙症」という仕組み=システムが、人の生活と精神を大きく傷つけることが出来るということです(藤井氏とその家族がその被害を受けたように)。そして作田医師らは、これを意に介してはいない。故にこれは何度でも繰り返され得る。それを可能にするシステムが許されているからです。

保険・医療の関係者、そして司法関係者が、作田学医師の「医師法20条違反」「医療費の詐取」を「小さな問題」として放置することは、「受動喫煙症」を盾に、人の生活と精神を傷つけ、貶めることの御先棒を担ぐことに他ならないのです。

僕は何故これほど「受動喫煙症システム」に異を唱えるのか。
それはこのシステムが、医療、司法といった権威を、禁煙運動という政治目的に利用するものだからです。
この権威の力を使って、一般市民(喫煙者)に行動変容を強制し、賠償金を課すことを目的としているからです。

医療は権威なのか?
医者は権威です。医師とはこの国では、国家によって医療行為を独占的に行使することを認められた存在だからです。
だからこそ、「医療」を政策目的に利用することが簡単に許されてはいけない。そう僕は考えています。



(注1)レセプトの「返戻」より重い措置として「査定」があります。本件は「返戻」なので、「診療費請求を認めなかった」は言い過ぎと取られるかも知れません。
しかし本件は3年以上前の診療費請求に対するものであり、つまり本来なら再請求が可能な「レセプト返戻」について、「再請求を認めない」という措置であると解釈できます。
(レセプト返戻に対する再請求の期限は、受診者が診療費を支払った日から2年間)


(注2)煙福亭の考察。例えば、こんなんです。