経緯

令和元年(2019年)11月28日、横浜地裁は原告A家の請求を棄却する判決を下した。判決が出た直後、黒薮さんに判決文を読み解いてもうらため、他の傍聴に来てくれていた人らとともに地裁1階にあるラウンジに移動した。

黒薮さんが読み終えるのを待つ間、私は同じ団地に住むB氏にこう伝えた。「無事勝訴したので、団地の全階段下に貼られているポスターを剥がすよう管理組合に申し入れしたい。」

すると驚くべき返事が返って来た。「自分が管理組合の理事なら、貼ってあるポスターは藤井さんの件とは関係ないと言う。」

私が、「当時の経緯を記す議事録が存在する」と告げると、「それでもそうする。」と言う。

この発言に大変な衝撃を私は受けた。結果、ポスター剥がしについては焦らずに機が熟すのを待とうと考えた。

そして今年、その時を迎えた。最初の掲示物が貼られてから4年半の時が経過していた。

そのかん、夫、藤井将登にとってはポスターが掲示されていることは、これ以上なく不愉快な出来事であった。なぜなら、ポスターが指さしているのは夫自身だからだ。夫は何度も冗談のように、「『吸わない人に吸わせていませんか』というポスターの横に、『思い込みだけで疑っていませんか』というポスターを貼りたい」と言い、「4年半も貼ったのだから、剥がすあかつきには、誤解を解く文書を4年半貼って欲しい。」とも言った。

私が申し入れる年度を今年にしたのには、他にも理由があった。それは、同じ団地に住む義理の姉が、次年度(今年6月から)新理事になることだった。このような問題で、姉に嫌な思いをさせたくないという気持ちがあったため、交渉が上手くさえいけば今年度中に解決できるので、2月に交渉を開始することにした。「知人・友人への報告」を送っている人達が4名前後はいたので、それほど揉めることになるとは考えなかった。

そして、下記の要請文を管理組合に提出した。

また、次に示すのが、A家の申し立てにより当時(平成29年8月)、300世帯全ての階段下に貼られた文書である。これは甲5号証としてA家により裁判所に提出された。

この文書にはA家の診断内容(A夫レベル3 / A妻・娘レベル4)や、作田氏・日本禁煙学会の考えが述べられている。「藤井将登」と書かれていなくても、この文書が夫を指していることは明らかだった。このポスターを見るだけで、住民は、「誰かとてつもなく非常識な煙草の吸い方をしている人がいる」と察するでしょう。

この広報は平成29年8月18日から10月1日まで貼られた。

同年10月1日からは「吸わない人に吸わせていませんか」のポスターに切り替わった(それが今日まで貼られていた)。下記である。

こちらのほうが、受ける印象はより一般的で柔らかくはなったが、経緯を見れば、これはA家の要請にこたえ、これ以前の過激な掲示物(甲5号証)にとって替わって貼られたことは明らかである。このポスターはA家により甲6号証として裁判所に提出された。

しかし、問題は裁判所に出されたか否かではない。マナー違反をしていない夫に対し、一方的な意見だけを聞き、「暗に夫を名指しして、あたかも非常識な吸い方をしているかのようなレッテル」を公の掲示板に貼り続けた事が誤りなのである。夫や藤井家の名誉は大いに傷つけられている。

管理組合からの参加者

私からの要望を受け、管理組合は4月12日(火)会合を設けることとなった。出席者は私を含む計8名である。

①平成28年9月22日の両家の会合の仲介役をしたT氏 

②平成28年度理事長および副理事長 

③今年度理事2名および監事2名(うち3名には「知人・友人への報告」を送っている。)

問題の掲示物を作成した平成29年度の理事長F氏は、残念ながら欠席をした。理事会からの要請に対し、「A家には会っていないが、誠意を持ち対応した。偏ったことはしていない」という主旨の返事が文書であったという。

また、今年度理事長も、当時のことを知らないことを理由に監事に一任し、欠席した。

当日の配布物

会議の冒頭、「管理組合が作成した文書がどのように裁判に利用されたか」を示す下記の資料に基づき私から説明を行った。

最後にある「無自覚にも加担」という言葉は、使うべきか迷ったが、こう書かなければ、A家や作田ら日本禁煙学会の片棒を担がされたことが管理組合には理解できないと考えた。

◆上記3の文書「1の広報が掲示されたのち9月15日に2号棟の1・2階に配布されたもの」

これは甲5号証の過激な掲示物が貼られた約一ヶ月後に、A家が私達が住む号棟の1・2階の住民に配布したものだが、ご覧のように、大いに「受動喫煙による被害」と「受動喫煙症および化学物質過敏症による治療」をアピールしている。管理組合がA家の要請に応え掲示物を貼ったことにより勢いづいたとも考えられる。

◆上記4の文書

◆上記5の文書

◆ナンバー6の文書「当時の管理組合議事録」

T氏からの話

次に、両家の会合に立ち会ったT氏が当時(平成28年)の経緯について説明を行った。

下記は、会合の翌日、T氏から送られて来た文書だが、ここにT氏の意見が述べられているので読んで欲しい。玉虫色とは真逆のはっきりした見解である。尚、掲載することにあたっては本人の了解を得ている。

平成28年度理事長からの話

次に、平成28年度理事長M氏が話をした。何年も前のことなので、記憶をたどりながら慎重に話をした。

M氏がA家に会ったのは、T氏を挟んだ両家の会合が開かれた平成28年9月22日のすぐあとのことだった。M氏はA家から「T氏を仲介し藤井夫妻と話し合いを持った」と聞いたことを記憶していた。

団地の集会所で、A家・理事長・副理事長の三者が会合を持ったという。M氏は、A家からひと通り話を聞いたあと、「このような案件には介入できない」と断った。また、A家から受け取った書類は3~4枚あったが、あまりに酷い内容だったので引き継がなかったという。恐らく藤井家を激しく非難していたのではないか。

M氏は言う。「今だから言うが、このような喫煙の問題は上下や左右の住宅間では起こりやすいと思うが、煙草煙の流出所が『斜め下』と聞いて、普通に考ればあり得ないと思った。当時、藤井家の上階に知り合いが住んでいたので、煙草の臭いのことで質問してみた。そうしたら『何も問題がない』と言っていた。」

また、M氏がA家から話を聞いた時には受動喫煙症に関する記載は全くなかったという。このことは、A家が初めて日本禁煙学会関係者(くらた内科)を訪れるのが直後の10月31日であることから考えても整合する。

M氏の話から、平成28年度の理事会としては、対応に問題が無いことが判明した。

管理組合の対応

私たちが発言を終えたあと管理組合が話をした。要旨は下記である。

①昔のことなので、今の理事会にはわからない。

②掲示物を貼った平成29年度の理事長が書面で「誠意をもって対応した」と回答しているので、これ以上どうしようもない。

③当時の人(ポスターを作成した当事の理事会)を、批判したくない。

④理事会で文書を作成するが、藤井さんの思うような結果(内容)にならなくても承知してもらいたい。

⑤このような事は、今回で終わりにしてもらいたい。

⑤の発言に私は激怒した。「『このような事』と言うが、5年間我慢して、本日『初めて』管理組合と話をしているのだが!」と声を荒げた。やるだけのことを長年やっておきながら、「終わりにして欲しい」とはこちらの言う台詞である。

④についても、納得のいかない文面とともにポスターが剥がされることには、全く同意できなかった。

私が怒りをあらわにしたことで、譲歩案が出た。理事会が作成する文書を、私が確認し修正出来ることになったのだ。そこで私が納得し、散会となった。

私は上記会合を経て、大きな怒りに包まれた。何年も待って、この期に及んで逃げ回る今年度管理組合の姿勢に大いに疑問を感じたのだ。

夫が納得いくように

4月16日(土)、私は一本の電話を監事から受けた。「文面が決議されたので取りに来るように」とのことだった。玄関先で文書を手渡された際、「夫に相談する」とだけ告げた。渡されたのは下記文書である。

家に帰りすぐに夫に見せると、読みながら夫は下記の点を指摘した。

①「喫煙していない家族に対しても、あたかも共同秩序に違反した行為があったとの間違った情報を与え」との書き方では、喫煙している家族(つまり自分)は共同秩序に違反した行為を行っていることになる。

・『訴訟の場にも多大な影響を与えたとい う事実があったとすれば、』ではなく、事実として「あった」と書くべきである。

・「受動喫煙症」という、厚労省も認めない、判決で客観的根拠がないと認定された病名をなぜ今もって使うのか。

私も同意見だった。

夫は実名を出して書いてもらいたいと考えていた(A家の名前を出す必要はないが)。

また、私が理事会の中に「寝た子を起こす」という考えがあると告げると、「寝た子を起こして欲しい」と言った。「裁判というと、怖がる人がいる」という意見もあると言うと、「怖がることで、今後このような事をしないようにして欲しい。」と言った。

私は夫の姿勢に驚いた。これまで私たちが裁判や活動を進める中で夫が口を出すことはなく、むしろ無関心に見えていた。が、それは発信に誤りがないだけであり、誤っていればこうして前に出て来るのだ。

驚いたのは私だけではない。支援の会の石岡さんも、「管理組合は、藤井将登という『寝た子』を起こしてしまったな」と笑った。いずれにせよ、指をさされた本人が前に出て、納得のいく形で交渉するのが一番よいのは当然である。

ポスターが剥がされる

私は、理事長から何か正式な返事があると考えていた。が、4月21日(木)午前、T氏からの連絡により、通告なしにポスターが剥がされたことを知った。12日(火)には、私に出来た文書を見せ確認をとり修正が出来るかの如く話が為されていたが、結局はそのようなこともないまま釈明文書が貼られていた。強制終了である。

当然、納得出来るわけがない。貼られている文書を、監事から手渡された文面と比べてみると、さらに変更が為されていることがわかった。

掲示板には下記の会議録も貼られていた。

喫煙ポスターに関する対応について 

提示案について採決の結果、可決・承認されたので事前に要望を寄せられたお宅に提示した上で各棟に掲示する。また受動喫煙ポスターの撤去も同時に行う。

これを見て驚いた。「要望を寄せられたお宅に提示した上で」と書かれているが、私には事前に文書を提示されたという認識はない。16日(土)に監事から文書を手渡されたのは事実ではあるが、それが何の趣旨によるものかも理解していないし、何ら説明も受けていない。1分程度のやりとりで、ただ玄関先でポンと渡されただけである。まさか、それが「事前に要望を寄せられたお宅に提示すること」にあたるとは到底思っていない。仮にそのような重要な意図があったなら、言葉で丁寧に伝えられるか、文書で正式にその旨を伝えられない限りわからない。

実のところ、私は何らかの文書が理事長から正式に届くものと待っていたのである。当然2月の要望書は理事長に対し出したわけで、12日(火)の会合出席依頼も理事長から届いている。たとえ監事に一任したとしても、要のところでは組織の責任者である理事長が行うのが筋ではないだろうか。

しかも監事から手渡されたものと貼られているものは異なる。提示するというのであれば、「大体同じ内容」ではなく、「完全に同じもの」を提示するべきではないのか。杜撰だ。

ところが、広報には「事前に要望を寄せられたお宅に提示する」と、あたかも私が事前に文書を見せられて了解したかのような内容が書かれている。そうやって包囲網的に既成事実を積み重ねていけば、強制的にこの件を終わらせれると考えているのか。

次年度に再要望する。